願いを叶える
聞き上手になるコツ
本当の願いを知るために
すでにお話している通り、コーディネーターには聞く能力と伝える能力が不可欠なのですが、この2つの中でもどちらが重要だと思いますか?私は断然『聞く能力』だと考えています。
コーディネーターは新郎新婦の願いを形にするために力を尽くす職業ですから、その願いが何なのか正確に把握できるかどうかで成功かしないかが決まるんです。
大抵の新郎新婦にとっては結婚式は初めての経験です。ゲストとして出席したことはあっても、いざ自分たちのこととなるとどんな風にすれば良いのか、どんな式にしたいのかぼんやりとしたイメージでしかないことが多いのです。「私たちの結婚式はこのテーマにしたいです。」と最初から願いをはっきりとした言葉にすることができれば楽ですが、そうであっても実際に形にしていくまでには話し合いを何度も重ねなければならないことがほとんどです。
準備が進んでいくにつれて『今まではこれがいいと思っていたけれど、本当にしたかったのは違うスタイルだった』と気付くカップルも大勢・・・。ですから、コーディネーターの大切な仕事の一つは、どんなタイプの新郎新婦であっても心の中の本当の願いが現れるまでじっくり話を聞いていくことなんです。
願いを引き出す質問
コミュニケーションというのはそれぞれの人が独自のスタイルを持っているものなので「本当に難しい!」といつも感じます。この人にこの質問をして願いを引き出せたからといって、次の人にも同じ質問が心を開くものになるとは限りません。
ひとりひとり、話し方の型というものがありますから、まるで外国語を学ぶようにその人の型を知ることが聞き上手になるための一歩です。ゆっくりと慎重に言葉を選んでいうタイプですか?思ったことをすぐ口に出すけれど、肝心なことへはなかなか行き着かないタイプでしょうか?
何か強い意見を言われると黙ってしまいますか?相談することに抵抗がなく、話しているうちに意見がまとまってくるタイプでしょうか?それとも自分の中だけで思い悩んで、ほぼ決定してから話すタイプですか?あいまいな言い回しをしますか?いろいろ質問されると戸惑って答えられなくなるでしょうか?
話し方の型をつかんだら、それにあわせてこちらの話し方を変えます。テンポ、質問の種類、質問の数、表情や相手の目を見る仕方も変えていきます。話しているうちに相手がリラックスして、もっと聞いてもらいたい!という気持ちになっているようだったら『話しの型が合った』というしるしです。そうなれば、心の願いを引き出しやすくなります。
個人的な事情に立ち入り過ぎないように十分に配慮しながらも、出来るだけ詳しい意見が出てくるような質問をしていきます。一つの答えで終わらせてしまわないで「どうしてそう思うのか」「どんな思い入れがあるのか」といった質問をさらに加えていきます。いくつもの希望があって迷っている場合ならなおさら、絞っていくために質問をしてじっくりと聞いていくしかありません。もちろん、途中途中でイメージしやすいようにアドバイスを入れていくことは出来ますが、コーディネーターが自分のアイディアを出して、どうでしょう?と聞くのは一番最後にすべきことです。
一聞いて十を知るくらい察しがいい『空気の読める』タイプだと自負していても、思い込みは厳禁です。少し聞いただけで「ということはこういうことですね。では、このプランがいいと思います。」と結論して勧めてしまうと、本当の気持ちは聞きだせずじまい。なかなかまとまらなくてじれったく感じるようなときでも、一生に一度のことだから迷って当然なんです。ゆっくり聞いていきましょう。
スキルだけでは聞き上手になれない
コミュニケーションはある程度スキルがあれば上達します。こういうときはこういう風に答える、この場合は答えないで質問で返す、などマニュアルもたくさんあります。でも、それだけでは決して聞き上手だとはいえません。なぜでしょう?如才ない受け答えができて質問も笑顔も文句のつけようがない相手だとしても、心がこもっているかどうかはなんとなく伝わってくるものではないですか?本当には自分に関心を持ってくれていないように感じてしまったら、自分の気持ちを伝えたいとは思えないのではないでしょうか?本物の聞き上手というのは、この人は私のことを心から誠実に関心を持って、知りたいと願ってくれていると信じさせてくれる人だと思います。
だから、聞き上手なコーディネーターになるためにはまず、人に対する誠実な関心を身につけることから。新郎新婦のこれまでの歩みや家族への想いや不安にまで及ぶ関心もお付き合いさせていただきたいという謙虚な気持ちも必ず相手に伝わります。そして、その気持ちを持っていれば、当人が自分でも気がついていないような心の奥にある願いにまで手が届くことがあるのです。
コーディネーターにとって『私たちの想像以上に素晴らしい式になったのは、あなたにコーディネートしてもらったから。』という言葉ほどの賛辞はないかもしれません。新郎新婦が最高に満足できる式を作り上げるために、聞き上手目指して頑張ろうと思います。

