ブライダルコーディネーター体験談
バラ香る庭で
ローズガーデンウェディング
新郎新婦はファッションをはじめとしてインテリア、映画、ローズガーデンにいたるまでとにかくイギリスが大好きとのこと。結婚式もできればイギリス風のローズガーデンで挙げたいというご希望です。
条件に当てはまるところを何件かあたって、やっと承諾が取れたのは日本でも歴史のある有名なローズガーデン。そこから生まれたバラもたくさんあるといいます。ガーデンを見下ろす高台にイギリス調の小さな建物があり、そこが式場に決定しました。
ドレスはシャンパンベージュでシンプルなデザイン。フラワーガールとおそろいの愛らしいドレスです。引出物は同じ金額でいくつかのパターンを用意し、差し上げるゲストによって変える方法にしました。その中の一つ、ルドゥテという画家が描いたバラの絵の額は2人の大好きな世界を表すものでした。
2人だけのこだわり
バラの中でも紅茶色のシックなジュリアが1番好きという新婦。婚約した時も新郎からジュリアの花束を受け取ったそうです。それならば、やっぱりブーケもジュリアをメインにしましょうということになりました。当時はまだフローリストでさえジュリアを知らないような状態でしたから、洋書の中に出てくるジュリアの写真を持って注文に出かけました。同時に新郎新婦はジュリアの苗を2つ購入して、新郎は新婦のブーケに入れる花、新婦は新郎のブートニアにする花を育て始めたのです。数ヶ月後、残念ながら咲きかけのつぼみでしかありませんでしたが、それでも2人が心をこめて育てたジュリアと葉が摘み取られ、ブーケとブートニアになって晴れの日を迎えました。誰も知らない2人だけの素敵なこだわりです。
ブーケとブートニアがアンティークのような深い色合いのバラで、そのほかのチェアフラワー、大きな活け込み、マイクや演台の装花などは優しいクリームがかった白で統一しました。カップ咲きの優雅な白バラがふんだんに使われた会場はまさにイギリス映画のワンシーンのよう。思わず見とれてしまいました。
バラに囲まれて
結婚式の前日、バラが大好きな2人の新居に大きなプレゼントが何箱も届きました。送り主はバラ農家の奥様。「祝福をこめて」というカードを手にした時にはもう、部屋中がバラの香りでいっぱいに!そう、大量のバラたちが送られてきたのです。バラを受け取った私は大急ぎで、そのお気持ちを生かす方法を考えました。式を執り行う部屋の中は白で統一されていますから、白のバラはそちらにまわしてさらに豪華にたっぷり使えるようにします。そのほかの色とりどりのバラたちはカラーグループ分けした後にアレンジに仕立てて受付、控え室、レストルーム、ドリンクテーブルなどありとあらゆるところに配置しました。出来上がってみたら、これ以上は無理というほどバラで満たされた会場に。
咲ききってしまったバラの花びらはカゴに入れて子供たちに渡し、式を終えて出てきた新郎新婦へフラワーシャワーをかけてもらうことにしました。子供たちは大喜び。きゃっきゃとはしゃぎながら車まで歩いていく新郎新婦にバラのシャワーを浴びせていました。
目を閉じるとその風景と優しいバラの香りとが昨日のことのように思い出されます。

