ブライダルコーディネーター体験談
悲しい式
意思の疎通がない2人
長いことブライダルに関わってくると、中にはとても残念な経験がいくつか・・・。ある時、物静かで品のある30代の新婦がブーケと会場装花の依頼でお越しになりました。今回はコーディネーターとしてではなくフラワーデザイナーとしての受注です。
新郎は忙しく、式のほかの部分を担当してくれているから、という理由で1度も打ち合わせに同席されませんでした。コーディネーターは立てず、新郎の友人に幹事をお願いして式の進行を任せているとのことでした。式の詳細を尋ねても新婦は「分からない。」を繰り返すばかり。しかたなく私がその幹事さんと直接タイムスケジュールなどを打ち合わせました。この時点ですでにかなりの不安があったのですが・・・。
新婦はお花の知識があり、センスもとても良い方でしたので、打ち合わせは楽しく和気あいあいと過ぎていきました。透明感のある白を基調としてブルーをアクセントに入れた爽やかな色合いで、スタイルはフォーマルに整えることになりました。両家とも格式のある家柄で、式は伝統的なものを望まれているようでした。
スタッフへの気遣いは・・・
緊張しながらようやく迎えた当日。会場はわたしの自宅から3時間ほど離れたところにあるホテルの大宴会場です。花を満載した車に乗り、早朝に出発しました。会場に着いて、新郎新婦も到着されたのでごあいさつを・・・と近づきました。なにせ新郎には始めてお会いするのですから。お祝いを述べ、お花を担当する旨をお伝えしたのですが、「あ、どうも。」といったきり目も合わせようとされません。傍らにいる新婦も、どうしたものかという表情。さらに不安が増していきます。
ブーケは大変喜んで受け取っていただいたので、次はいよいよ会場装花にとりかかります。大きな会場で花のスタッフは2人しかいませんので私も走り回ります。お花の仕事は想像以上に重労働です。水と花の入ったバケツは20キロ程にもなりますが、それを一人で持って広い会場のなかを移動するわけです。アレンジによってはのこぎりで木を切ったり、ハンマーで打ち付けたり。綺麗に見えますが、汗だくになって頑張っているんです。
花に限らず結婚式の準備をするスタッフは本当に忙しく動き回るのです。ですから、ほとんどの式では新郎新婦とコーディネーターがスタッフ用の飲み物やお菓子やお弁当を用意しています。しかし、この結婚式では水さえ用意されていませんでした。新郎新婦も幹事も気がつかなかったのでしょうか。
しかたなく、カラカラの喉の渇きを洗面所の水道から直接いやすことに・・・。結局、お水と機動食を買いにお花のスタッフを走らせました。(これ以降、どんな式でも飲み物と食べ物を持参するようにしています。)なんだか普段よりも疲れが倍増して感じられました。
ヤジが飛びかう結婚式
ロビーに花を生けているときです。すぐそばの椅子に座った新郎と早くから来られていたご親戚の男性の話し声が聞こえてきました。そのうちご親戚の男性の声が荒立ってきて否が応でも内容が耳に入ってきてしまいます。どうやら、式が始まる前の今から、この式はけしからん!と感じられ、お小言をおっしゃっているようです・・・。手早く花活けを終わらせてその場を離れましたが、しばらくの間抑えられない怒りをぶつけておられたようでした。どんよりとした重い空気が流れる中で式が始まりました。
「もう何事も起こらずに無事に終えられますように。」との願いもむなしく、始まってすぐに厳かな式の話がご親族のヤジでかき消されました。私の後ろでは「ひでぇ式だな!」という罵声とンゴゴゴォーという大きないびきの音・・・。格式があり伝統を重んじる方たちのはずが、なぜこんなことになってしまったのか全ては分かりませんが、全てをつなげて考えてみるとこの状況は必然だったのかもしれないと思いました。最後まで新郎新婦の晴れ渡った笑顔が見られず本当に残念で悲しい式でした。

